第18章 amends ~償い~
「穏やか?それとも激しい?」
「……激しい子、です…」
激しい??
潤が?
そんな姿、家では全く…
それとも、おばさんは気付いてた??
潤の本当の姿に…
「具体的に、どんなふうに激しい性格でしたか?」
「…潤は、私のことが、嫌いでした…
私が何か叱ったりすると、憎しみの籠った目で、私のこと…睨み返してきて…」
「よく、潤くんのこと、叱ったんですか?」
「よくではありません…潤は、家ではいつも張り付けたような笑顔で…」
……そう、潤は笑ってた…
いつでも…どんな時も…
家族の中では笑顔で…
「それが、堪らなく嫌だった…」
えっ??……嫌だった、って…
目を閉じたおばさんの顔が、苦悶に歪む
「どうして、嫌だったんですか?潤くんのこと」
「………」
「じゃあ、質問を変えましょう
潤くんのことは。可愛いと思わなかった?」
「そんなことは…潤は家に来たとき、フランス人形のようでした…男の子なのに人形なんて…
でも、本当に綺麗な顔で、可愛くて…でも…」
東山先生は、黙っておばさんの言葉を待った。
「……潤を見てると、思い出さずにはいられないんです…忘れたいのに…忘れることが出来ない……
私の……罪……」
つみ…??
罪って、いったい…?
悲しげに閉じられた目から、涙が溢れだした。
「私は、博さんが好きだった。
高校に入った時から同じクラスで、その頃からずっと、博さんだけが好きだった。
それなのに、3年になって編入してきたのり子が…
三人は、それぞれ別の大学へと進学し、
大学生になって直ぐに、のり子と博さんは付き合いだした。
悲しかった…
苦しかった…
どうして私じゃないの??
なんでのり子なの?
って……私、どうしても諦めきれなくて。
ふたりに、最低な嘘を……