第17章 その葛藤の先に
翌日、翔くんが連絡してくれた病院へと
ふたりで向かう。
「直ぐに予約取れたんだね?」
「えっ?ああ〜、まあ、それは〜、
多分、そんなに混んでは、いないかな、と……」
その時、
もふもふの白い犬が、
狭い階段を駆け登ってきた。
「何?どうした??」
驚く俺たちの側まで来ると、そのもふもふは翔くんにダイブしてきて……
あっという間に、
翔くんの腕に抱っこされたそいつは、
澄ました顔して
駆け上がってきた坂の先を見ている。
「だいきちぃ〜、ちょっと、待てって…」
白いもふもふを追いかけて来たのは、
ふわふわの薄茶の髪ですらりと背の高い男の人。
「大吉!何で急に…すみません!捕まえてもらって…ありがとうございました」
彼はそう言ってにっこり笑った。
「いえ。可愛いですね♡」
翔くんににっこりされ、ふわふわ薄茶はパッと赤くなった。
「いや、可愛いとか、そんなことは…
第一、そんな年でも…」
「…大吉くん…」
ひとりで盛り上がってる薄茶に、申し訳なさそうに翔くんが言うと、
「えっ??あ…あああっ///ですよね~!
そうですよね!もう~///やだな~、恥ずかしい」
「あなたも可愛いですよ」
翔くんはそう言って笑いながら大吉を彼に渡した。
……優しいな…翔くん…
その優しさが、翔くんの悪いことろでも…
「僕の名前は、高円寺達也といいます!
この先で、動物病院をやってるんです!
何かあったら、お寄りくださいね…サービスしますから!…あ、サービスっておかしいかっ」
焦る彼に、翔くんはまた笑った。
「じゃあ、ペットを買った時は、高円寺先生にお願いしようかなぁ~♪」
「はい、是非!!…では…」
人懐っこい笑顔で、彼は俺たちを追い越していった。