第17章 その葛藤の先に
「な、なんですか?」
遠慮なしにじっと見つめてくるから、
なんだかドキドキしてしまった。
「うん~?ホントに、翔くん綺麗な顔してるな~って思って。Jが翔くんのこと、なんて言ってるか知ってる?」
「……」
「んふふ…天使♡」
「てっ///」
カッと顔が熱くなるのが分かった。
いい年した男に、天使って…
あのJがどんな顔してそんなこと言ったんだよ?
それに……Jはいったい、
この人に何をどこまで話してるんだろう?
「ホントに…あなたに会って、その言葉、満更盛りすぎって訳でもないって思ったのよ」
「そんなこと///」
いずみさんは、俺のために肉を焼いてくれ、
食べろ食べろと皿に乗せて来た。
「いずみさんも、もっと食べてください!さっきから、俺ばっかりじゃ…」
自分はダイエット中だからと笑いながら、
若い子は、肉なんかいくらでも食べれるはずだという、独自の持論の下、
俺の皿に高級焼肉を重ねていった。
「あの~…聞いてもいいですか?」
俺は、気になっていたJのことを切り出した。
「いずみさんとJって、どういう知り合いなんですか?」
彼女は、トングを持つ手を止めてニコッと笑った。
「そうだったわよね~。そのために、こんなおばさんと二人で焼肉来てるんだもんね~。話してあげなきゃ詐欺だわ!」
「そんな!そんなことないです!
いずみさんは、とても魅力的な女性だって思います…ホントにそう思ってますから」
「繰り返すのが怪しいけど…
でもホント、いい子ね…翔くん…」
いずみさんは、グラスの烏龍茶を煽ってから
ゆっくりと話し始めた。
Jと出会った時のこと……
どうしてJに部屋を貸すようになったのか…?
Jは、本当な何者なのか…?