第16章 turning point~転機~
一気に流れ込んでくる音楽と
キラキラ眩しいライトの渦…
一瞬目が慣れなくて目を閉じた俺は、
その場に立ち尽くした。
すると、そんな俺に大股で近付いてくる人が…
Jだ。
「翔、何で来なかったんだよ?今まで…」
Jはそう言いながら、そのまま俺の身体を抱き寄せた。
「…J…」
「ずっと待ってたのに……会いたかった」
「J…俺…」
「翔、行こう」
「えっ?」
戸惑う俺を気にもせず、Jは、スタッフに声を掛けて何か話している。
「翔、VIP行こう!」
「えっ?もう?」
有無を言わさず、Jは、俺の手を引いて奥へと歩き出した。
「J~、来て早々かよ~?」
「翔、ご苦労さん♪」
仲間のいるボックスシートから、俺たちを揶揄うような声が飛んだ。
でもJは、そんなことはお構いなしに
俺の手を強く握ったまま歩く。
仲間の中に、ニノと雅紀の姿を見つけた。
眉を顰めるニノ……
口をぎゅっと結び、俺を見つめる雅紀…
興味本位の仲間の視線の中、
俺はJと手を繋いで、VIProomのドアを閉めた。
バタンッ…
ドアが閉まるや否や、Jが強引に俺を抱き締めた。
「翔…会いたかった…」
「…J…」
「もう…翔に会えないのかと思って、俺…」
「ごめん…」
顔を埋めた肩から、Jの匂いがした。
潤とは違う…Jの……
その香りに、うっとり目を閉じた時、
「翔…欲しい…」
はっきりと届いたJの甘い囁きが
俺の鼓膜を震わせた。
「……」
「…翔…ダメ?」
「…ダメ…じゃ、ないけど…ん///」
俺の返事を待たずに、Jの唇が重なって来た。
背中を強く抱き締めるその手のひらから、
Jの熱い気持ちが伝わって来て、
俺の心は震えた。
……雅紀…
…ごめん……
俺を軽蔑するよね?
こんな…こんな俺のこと……
でも俺……
「…んん…ぁっ」
いきなり来た激しいキスは、
俺の思考を奪っていった。