第16章 turning point~転機~
ぐったりと弛緩し、ベッドに沈む潤…
その隆起した肩甲骨の上に咲いた、赤い華……
そこなら潤が自分で気づかないということを計算して付けた場所だ。
この赤が、Jにあったら……
だけど。
雅紀とあんなことがあって、
それでまたJと…?
そう言う訳にはいかない…よな…
じゃあ、こんな罠を仕掛けるようなことをしても無駄になるんだろうな……
「…潤…今日、泊まってくよな?」
「……うん…ダメ?」
「ダメな訳ないじゃん♪じゃ、一緒に風呂入ってスッキリしようぜ」
「…うん、え、でも、おばさんが…」
「もう寝てるって!それとも、また風呂でスル気なの?」
揶揄うようにそう言ってやれば、
「もう~、翔くん!そんなこと言ってないから」
頬をぷっと膨らませる潤がホントに可愛い…
俺たちは仲良く風呂に入り、お互いの身体を洗いっこしたりして…
まあ、流石に親に聞こえてもいけないから、そのくらいで我慢しといたんだけど…
翌日、二人で朝食を食べていると、母親に、
「二人、夜中にお風呂入ってた~?」
と聞かれ、流石に焦った。
でも、母親はのんびりした声で、
「こんな大人になっても、仲良くお風呂入って…ホントに兄弟みたいね~
翔が一人っ子だから、潤くんみたいな弟がいたらな~って、そう思って聞いてたのよ♪」
そう笑った。
「兄弟じゃないから、いいんじゃないかな~?
俺と智なんか、一緒に飯食ってても、全然話さないこともあるくらいだし…」
潤もそう言って笑顔を作る。
俺と潤……実際は、兄弟って言うよりは……
母親が知ったら、どう思うんだろう?
このまま潤と一緒にいるのなら、
いつかは本当のことを言わないといけない日が来るんだろうな…
母親と楽しげに話す潤の横顔を見ながら、
そんなことを考えていた。