第15章 消えぬ想い

「…翔…しょう…目、開けて…俺を見ろよ」

「……」

背けていた顔を正面に向け、
閉じていた目をゆっくりと開けた翔…

こんな状況なのに、
こんな酷い事されてるのに、

翔の瞳は、どこまでも澄んでいて…

ちっとも汚れちゃいなかった。


翔……おまえは、俺がどんなに汚そうとしても、
傷付けようとしても、

翔は翔のままで…


「……雅紀…」
「…翔……」


「そんな目で…俺を見るな…俺を憎めよ…
こんな……こんな汚い、卑怯な俺を……」

「雅紀…」


不意に翔の腕が俺の首に回り、
そのまま俺の身体は、翔に包まれた。

「しょう……？」

「雅紀…今まで、辛かったね…苦しかったね…
…それでも笑っていた雅紀は、強いと思うよ…」


………翔…何で？？どうして、お前は……


「…俺が…俺でも、雅紀の癒しになれる？
少しでも…雅紀の傷を、温めること…出来ないかな～？」

「……」

言葉が出ない…翔の言葉に、胸が詰まって……


「俺は、ズルい…俺は汚い…
自分の罪に、押しつぶされそうになったこと…
俺だってあるよ……」
「嘘だ」
「本当なんだ……こんな俺でも、雅紀の事…
少しでも、支えること…できるなら…」

腕を解いて、翔が涙でいっぱいの目で
俺の顔を覗き込んだ。


「…イコう？…一緒に…雅紀…何もかも忘れて…
こんな俺だけど…Ｊじゃない、けどさ…」

「翔！！」


堪らずに、翔の身体を抱き締めた。

そんな俺の背中を、翔の手が優しく撫でる。

「…雅紀…動いて…」
「………」
「…ほら、早く…」


翔に言われるままに、
俺は再び翔の身体を突き上げた。


……まさか、こんな気持ちになるなんて…

大きな憎しみの塊が、翔の優しさに触れて、
融けていく……


「……雅紀…まさき…んっ…」

翔の甘い声を聞きながら、
いつしかその行為に、溺れて行った。