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Baby blue【気象系BL】

第15章 消えぬ想い




「…翔、そんなこと言ったからって、
俺がもういい、なんて許すとでも思ってんじゃないよな?」


「……思ってない…
でも、その前にシャワー、したい…」

「いいよ…指突っ込んで、中、綺麗にしてくれば?」


薄笑いを浮かべる雅紀から、
逃げるように脱衣所に入った。
といっても、カーテンで仕切られただけの狭い空間。

背中でカーテンを引いたけど、
すぐ側に雅紀の気配がする…


……脚が震える…

怖くなんか……ない…

……どうってこと……
初めてって訳でも、ないし……


俺は急いで着ているものを脱ぎ、
シャワーを浴びた。

熱いシャワーが俺の身体を打ち付ける。

肌を流れるこの熱が、
汚い俺を、流してくれたらいいのに……


着ていた服をもう一度着て、
覚悟を決めて部屋に戻ると、

「俺も、シャワーしてくる…」

そう言って雅紀も風呂場に消え、
暫くするとシャワーの音が聞こえてきた。


雅紀…………

俺、知ってるんだ。
雅紀は ほんとはいいやつだってこと。

俺が……壊しちゃったんだよね


立ち尽くし頭を抱えたその瞬間、
ポケットの携帯が震えた。


♪♪♪…♪♪♪♪♪………♪♪


潤からだ。

一瞬、躊躇ったけど、
潤の声が聞きたくなって、
画面をタップした。


『翔くん、今どこ〜?』

のんびりとした潤の声が鼓膜を震わせる。

「何?どうした?」

『今さ、翔くんちに行ったら、おばさんが留守だって言うから…』

「あ、ごめ…何か用だったの?」

『たけのこ、親戚からたくさん送ってきたから、お隣にお裾分け♪翔くん、好きでしょ?』

「うん、楽しみだなぁ〜、
天ぷらかなぁ?たけのこご飯かなぁ?」

『ふふふ、食いしん坊の小学生かよ』


電話の向こうで、潤が笑ってる。

目に浮かぶ、潤の笑顔………

自然と心が凪いでいく…


だけど。


……本当に…Jは潤なの?


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