第15章 消えぬ想い
【翔】
聞かされた雅紀の過去…
それはあまりにも壮絶で…
同情なんかされたくないだろうけど、
それでも、同情せずにはいられない。
雅紀……
今まで、何度泣いたか?
きっと自分に与えられた運命を恨んだだろう?
何度、絶望した?
それなのに、そんなこと微塵も感じさせない
雅紀はいつだって、
太陽みたいな笑顔で…
側にいるみんなを幸せな気持ちにさせる。
その雅紀が、そんな人生を歩んできたなんて…
信じれれない…
それに比べて、
俺は何て恵まれていたんだろう?
そして、驚いたのは
雅紀がJと恋人同士だったという事実。
俺は親友を裏切ったことになる。
知らなかったじゃすまされない…
雅紀の大切な人と…
俺は自分のエゴで、関係を持ってしまった。
Jと雅紀が同一人物かどうか…
それを知りたくて、Jを誘ったのは俺だ。
ごめんね、じゃ済まないよな…
どうすればいい?
どうすれば、俺は自分の罪を償える?
『お前を、抱かせろよ』
絶望に縁どられたその瞳には、
いつものような明るさはどこにもなくて……
甘ったれた俺のこと、
雅紀はずっと笑っていたのかもしれない…
そして消せない真実。
俺はJと寝た…………
それは紛れもない事実だから。
俺は…
雅紀に……
「いいよ…それで雅紀の気が済むなら…」
一瞬驚いたような目をしたけど、
直ぐに口を片方上げて笑った。
「いいのかよ?そんな、
何度も裏切るようなことしてさ…」
「……潤は…潤には、言うついもりは、ないから」
「…売女///…そんな可愛い顔して、
やってることは娼婦と変わんないじゃん」
……雅紀の言葉が、胸の奥に刺さる。
ホントに、そうだ。
俺は、酷いやつだ…
潤を愛してるのに、
智くんを抱いて…
今度はJに抱かれた。
俺は………
サイテーだ