第15章 消えぬ想い
「潤のこと、裏切ることは出来ないって…
いつもそう思ってる…けど…
どうしても、Jと潤が別人だって思えなくて…
それで…俺…」
「それでJに抱かれたって言うの?
Jのこと、好きでも、ない、のに?」
声が振るえる……
翔は俯いて、何かを考える様に目を伏せていたけど、ゆっくりと顔を上げ、俺を見つめた。
その目に迷いはなくて……
「俺…Jのこと、好きだよ…」
「嘘だ」
「嘘じゃないよ…ただ…Jを通して潤を見てるのか、潤とJを重ねて見てるのか?…自分でも分からないんだ…」
「それで…どうだったの?」
「どう…って?」
「Jは潤だったのかって、聞いてるんだよ!」
翔の煮え切らない態度に、どうしてもイライラする気持ちを抑えられない…
そんな、自分で分かんない気持ちで、
Jの思いを受け止めたって、そう言うのかよ?
そんなの…
そんなこと……
「Jは……潤だよ…でも、潤じゃない…」
はっ??意味が解んね~よ///
「Jでいる時は、潤じゃない…」
「何を訳の分かんない事言ってるんだよ!!」
「まさき…?」
だめだ…
こんなこと言うつもりなんかなかった…
翔は悪くない…
こんな風に責めたら、
自分が惨めになるだけだ。
分かってる…
分かってるけど……
俺の中の闇が、背中を押す…
『翔を壊してしまえ』と……
「俺の目を見て、はっきりと言えよ!
『Jが好きだ』って…Jのことが好きだから抱かれたんだって…そう言ってくれよ…
そうでなきゃ……俺は…俺の気持ちは……」
もう止められない…
俺の中の『魔』///
「雅紀…雅紀も…Jのこと…?」
何かが、俺の中で音を立てて崩れた。