第15章 消えぬ想い
「……潤?…それって…女?」
「違うよ〜、潤は幼馴染なんだ…そんで、まあ、付き合ってる……」
付き合ってる?しかも男なんだ…
訂正するよ……
汚いことなんか知らないなんてさ。
誰とでも直ぐに寝る、尻軽な…
「似てるんだ」
「えっ?」
翔は俺のことは見ずに、ぼそっと言った。
「Jってさ、潤とそっくりなんだ…
初めて見たときはもう、
息が止まるかと思ったんだよね〜……」
「そんなに…似てるんだ……」
「似てるなんていうレベルじゃない!
同じだよ…顔も声も、ほくろの位置まで……
何もかもそっくりで。…Jは…潤だ…」
だったらどうして……
「だけど違うんだ……雰囲気が、全然…
目の色も…まあ、あれはカラコンなんだけど。
何て言うのかな〜…俺を見る目がね?
知らない人を見るような……
そんなことってある?
潤とはずっと一緒にいて……
弟みたいで……でも、Jは……」
「寝てみて、どーだったんだよ?」
ずっと黙っていたけど、
もう我慢できなくて…
翔がじっと俺を見た。
「……雅紀、何で知ってるの?
……その〜、俺が、Jと…って…
Jが話したの?」
「Jは何も言わないよ」
「じゃあ、なんで…」
翔は分かってないんだ……
自分があの夜、どんな風に変わったのか。
誰が見ても分かる、
息を飲むほどに身体から漂う色香…
今、好きな人に抱かれてきました、
そう言わんばかりの上気した頬…
あの場にいて分かっていなかったのは、
きっと翔だけだ。
あの瞬間が、どれ程俺の心を打ち砕いたか。
翔は………
翔は、全く……
「俺さ…確かめたかったんだ…」
「確め、たかった?」
翔は小さく、だけどしっかりと頷いた。