第14章 desire〜欲望〜
【翔】
青空の下。
公園で普通の大学生のカップルみたいな、
健全なデートを楽しんだ。
とは言っても、
同じ姓を持つ俺たち二人の、こんな戯れは、
世間的には普通じゃないんだけど…
それでも、最近は、俺たちみたいな輩も少なくなくて…
周囲も、人のことには関心がないのか、
俺たちのことを、
興味剥き出しの目で見るような人はいなかった。
「翔…今日さ、親旅行行ってんだ…
智も友達のとこ行くって…」
「一人なんだ…」
それはイコールセックスの誘い。
智がいるから、この頃はほとんど潤の部屋に行くことも無くなっていた。
「で?」
「えっ?」
「で、どうしたいの?潤は…」
「どうって…」
ちょっと意地悪してみたくなって、
分かってるくせに、そんな風に言ってみたりして。
潤は、少しだけ悔しそうに眉を顰めたけど、
直ぐに切り替えたのか、
そんな手には乗らないとでも思ったのか、
「だから、俺んちに来て、泊まってけばいいよ」
そう言った。
「素直じゃん♪」
茶化したつもりだけど、逆に、
「久しぶりに、翔くんと、家でゆっくりしたい。誰の目も気にしないでイチャイチャしたい」
「ふふふ、何だよそれ~」
素直に気持ちを口にする潤が可愛くて、
自然と笑みが零れた。
夕飯を食べて行こうという俺に、
早く二人になりたいから、と、
真っ直ぐ潤の家に帰った。
「潤、何作ってくれんの~?」
「うん、簡単に、パスタ。
後はスープとサラダかな?」
「お~、全然簡単じゃないじゃん!
俺も手伝うよ!」
「うん…気持ちだけでいいよ、翔くんの場合」
「あ~、ひっで~!俺が何にもできないみたいじゃんか!」
「実際、出来ないじゃん…」
「ちくしょ~///否定できね~(*´з`)」
笑い合って、寄り添って、
俺たちは、潤の家に向かって歩いた。