第14章 desire〜欲望〜
【潤】
翔くんが、公園に行こうって誘ってきた。
最初、公園なんて…
そう思ったし、何で急に??
とも思った…
だけど、何だか凄く幸せな気分になれた。
青空の下、シート広げてお弁当食べて。
バトミントンやったり、
フリスビーやったり。
大袈裟じゃなくて、
今まで生きてきた中で一番、
楽しかった。
こんな、涙流して笑ったり、
最近なかったから……
俺と翔くんって、こんな風に二人っきりで、
健全な、所謂『The.デート』的なことなんかしたことなかった。
外で会う時は他の誰かもいたし。
ふたりであっても、本屋とか、ファミレスとか、
とにかく、健全とは少し違ってたし……
夜、こっそりホテルで待ちあわせたり、
お互いの家で会う時は、家族がいればいつも声を顰めていた。
悪いことしている訳じゃないのに、
そんな風にしか会えない関係…
でもそれも仕方がないと、諦めていた。
だって世間的には俺たちは異端だから……
何で公園に誘ってくれたのか尋ねたけど、
翔くんは『たまにはいいじゃん』
と笑っただけで、上手くはぐらかされた。
「何?俺の顔になんか付いてる?」
「いや、別に~…相変わらずイケメンだな~と思ってさ」
「はあ~?何言ってんだよ!翔くんの方がず~っとイケメンのくせに…」
「潤の方がぜったいイケメンだろ~?」
「翔くんだよ!!」
「……」
「………」
「なんか俺たち、キモい…」
「ははは、ホントだ、マジヤベ~やつだ…」
俺たちはまた笑い合った。
弁当を頬張る俺を、翔くんはじっと見つめていた。
何度も…何度も……
いつもはそんなことないからさ、
どうしてなのか聞いてみても、
またさっきのイケメンの下りになるし…
最近、翔くんの様子が少し違ってきたこと、
気付いていたけど…
その理由を知るのが怖かった。
知りたいけど…
知りたくなかった……