第14章 desire〜欲望〜
「智?…智くんとはもう…それは潤も分かってるはずじゃん!この頃は、話すこともほとんど…」
「だからさ!!
だから、話したいのかな~、とか、
会いたいのかな~、とか…
やっぱり、智が…」
「潤!!」
俺は潤の手を強く引き寄せた。
不意に腕を引かれた潤は、俺の胸に顔を付ける格好になった。
「ちょっ///」
慌てて離れようとした潤の肩をしっかり抱いて、
「智くんは、もう何とも思ってない。
潤を不安にさせたんなら謝るから…
誓って、そんな気持ちはもうない!
信じて…潤…」
「…翔くん…」
「不安にさせてごめんね…潤のこと、ちゃんと好きだから…」
「……ごめん…変なこと言って…」
潤は、俺からゆっくりと離れながらそう言った。
その頬はほんのりと赤くて…
可愛い…
「潤、ここにおいで~」
俺は腕を横に伸ばして、潤を誘った。
潤は増々赤くなり、
「ダメだよ、人に見られたら、変に思われるじゃん」
「思われてもいいよ~」
「ダメ!…二人の時なら…いいけど…」
「じゃ、夜、たっぷり甘えてもらうから!」
それから俺たちは、暫くの間、寝転がったまま、流れる雲を見ながら、他愛もないことを話した。
そんな時間が堪らなく愛おしくて……
もう、Jに会いに行くのは止めようかな?
そう思っていた。
潤のこと悲しませるようなことは、
もう二度としないって…
………でも…
「そう言えばさ、潤、連絡取れない日はバイト?」
「うん…どうして?」
「いや、一晩中連絡できないなんて、大変だな~って、そう思ったから…」
「ホントだよ!今時外と連絡取れないなんて、
刑務所よりひどいよね~」
そう笑った潤の、屈託のない横顔が、
Jと潤が全くの別の人間なんだと
改めて俺に確信させた。