第14章 desire〜欲望〜
「ちょっと休憩~、あ~、疲れた~///」
「翔くん、空振り多すぎ~」
「そう言う潤だって!何度もフレーム当たってたじゃん!」
俺たちは笑い合い、芝生に寝転がった。
ああ、気持ちいい……
空ってこんなに青かったんだなぁ…
雲がゆっくりと流れていく……
人間ってさ、
なんてちっぽけなんだろう……
「翔くん…」
「ん?」
顔だけ横に向ければ、そこに、
さっきまではしゃいでいた潤の、
不安そうな笑顔……
「何だよ…そんな顔して…」
そう言いながらこっそり手を伸ばして
そこに投げ出された潤の手を握った。
「翔くん…最近なんか……やっぱいい」
「ちょっと~、言いかけて止めんなや~
気になんだろ~?」
潤は不安げな瞳をすっと反らして空を見上げた。
「翔くん、なんか俺に隠してることあるよね~?」
「えっ?」
意外だった。
潤がそんなこと考えてたなんて…
潤が言いたいのは、俺が水曜日『Asterisk』に通っていることかな?
もっと言えば、俺にとってのJの存在が、
徐々に大きくなっていること、なのかも…
潤とは変わりはないつもりでいる。
潤のことは変わらず好きだし、
大事にしたいと思ってる。
だけど……
Jのことが、気になって仕方ないんだ。
「隠してるって…あったかな~?そんなこと…
最近ちょっとクラスの女子に顔が丸くなったって言われて、そっから少し筋トレしてること?
結構腹筋いい感じになってきただろ~?
でもそれなら、潤だって気付いてる…」
「翔くん!!」
「……潤…」
「はぐらかさないでよ!
このところさ、俺を抱いてる時も、翔くん、なんか、違うこと考えてる…」
「そんなことは…」
「俺を見ながら、別のものを見てる…
俺じゃない、誰か…」
「潤……」
「智…じゃ…ないよね…?」