第13章 encounter〜出会い〜
大学の講義が終わってスマホを開くと、
いつも連絡なんかしてこないJから、
LINEが着てた。
なんだろ??
ドキドキしながら開くと、
『明日、翔来るって?』
………J…翔が来るの楽しみなんだ…
『来るよ』
そうひと言レスすると、直ぐに、
『やった!楽しみ~。いつもより早めに行くよ』
そう返って来た。
俺とニノとJの間に、
翔を入れるのか?
3人で過ごした時間が作ってきた俺たちの関係…
それが変わってしまう…
どうしよう?
何か打つ手はないのかと、自問自答を繰り返すけど、時間ばかりが過ぎていき…
翔との待ち合わせの時間が近付いていた。
「そろそろ駅に行かないと…」
スタバでレポートを仕上げていた俺は、
パソコンをリュックに仕舞って店を出た。
少し重い足取りでガストの角を曲がると、
駅の改札に翔がいるのが見えた。
俺に気付くと、嬉しそうに大きく手を振っている。
「はあ~…」
小さくため息を吐いてから、
待っている翔に駆け寄った。
「お待たせ。早いね?」
「今来たとこだよ?」
翔は黒い細身のパンツに白いシャツ、
上にはモスグリーンのダッフルコートを着ていた。
……カッコいい…
男の俺でも、その立ち姿にパッと目が行く。
その証拠に、さっきから横を通る女性が皆、
翔を意識してチラッと見たり、
振り返ったりしている。
「じゃ、行こっか…」
「うん…雅紀はバイト帰り?」
「いや、レポート書いてた」
「そっか~、お疲れ~♪」
そう笑った翔は、
何だかいつもよりもキラキラしてみえた。
俺が勝手に、翔のことを意識しているから、
そんな風に見えてしまうのかもしれない…
………こんな彼を、Jはどう思うだろう?
漠然とした不安が、
黒い雲が空を覆う様に、
俺の心に陰を落としていった。