第13章 encounter〜出会い〜
【雅紀】
Jの前では平然としていて、
まったく動揺なんか見せなかったのにさ…
俺にはそうやってイライラをぶつけてくるんだね…
俺だってさ、
ニノに言われなくたって分かってるよ///
自分の失態。
翔が行きたいって言った訳でも、
凄い興味を持ったわけでもないのに。
翔にJを自慢したかった…
それだけだったのに……
「雅紀の友だち、凄いカッコいいじゃん!」
素直な翔は、そう興奮気味に言ってくれるはずだった。
「でもさ~、翔、来ないかもしれないよ?
塾のバイトも結構入れてるしさ」
「…一回断っても、Jがそうですか、って諦めるとも思えないよ…Jのあんな嬉しそうな顔、久々に見たもん…」
……そうだよなぁ~…
翔を連れて来いってそう言ったJは、
新しいおもちゃを見つけた子どもみたいだった。
翔のどこがそんなに気に入ったんだろ?
イケメンであることは確かだけど、
翔に近いくらいの男なら、全くいないって訳でもない。
寧ろもっと簡単に落とせそうな奴なんか、
それこそ掃いて捨てる程いるのに……
何で……
翔なんだろう?
ニノと口喧嘩してみても、
何も変わりはしなくて……
連絡できないまま、時間だけが過ぎて、
火曜日、俺は塾のバイトで、翔に会った。
「雅紀、久しぶり!この間はありがとね~」
「あ~、なんか慌ただしくって……ごめんね」
「全然…楽しかったよ…じゃ、またね」
「あ!あのさ!!」
翔が小首を傾げて俺を振り返った。
……こんな可愛い仕草が、
Jは気に入ったのかもしれない…
「明日…なんか、予定、あるよね?」
「明日?…なんで?」
俺は内心、翔に予定が有ってくれ!!
なくても、翔の方から断ってくれ!!
そう祈って、
「明日の水曜なんだけど、またAsteriskに行かないかな~?と思って…」
そう言った。
心臓が…早鐘の様に打ち出した。