第13章 encounter〜出会い〜
「ねえ、雅紀…」
「ん~?」
俺たちは雅紀のアパートで抱き合っていた。
Jは水曜日以外は絶対に店には来ないから、
いつからか俺たちは、
Jに会えない淋しさを、二人で埋めるようになった。
始めのうちは、Jを中心にしてバランスをとる…
俺と雅紀は、ちょうどやじろべえのような関係だった。
ふたりの…
Jを挟んだ二人の関係には、
暗黙の了解があって、それをお互いに守っているようなところがあった。
Jが何か言った訳でもないんだけど…
AsteriskのVIP roomでは、
Jが俺たちを抱くことがほとんどだったけど、
時々は俺たちのセックスを見ながら、
Jは酒を飲んだりしていた。
「雅紀~、ニノを抱いてみてよ…」
Jのその一言で、雅紀は俺を抱いた。
「……あ…あっ…まさき…あぁん…」
「…ニノ…可愛い…気持ちイイよ…」
縺れる俺と雅紀を、ソファーで脚を組んだまま、
Jはニヤニヤ見ながら、ワインを飲んでいた。
………狂ってる…
実際そうだったのかもしれないけど、
そんなの構わない。
不思議と、Jが雅紀を目の前で抱いていても、
そこにはジェラシーを感じることはなかった。
そんな関係を続けるうち、
雅紀とは自然の流れっているか、
どちらからともなく、というか…
こんな風に関係するようになったんだ。
Jも俺たちの関係に気付いてるみたいだったけど、
それに関しては何も言わなかった。
まあ、そこにやきもち妬くっていうのも、
どうかと思うけどね……
「あの翔っていう奴さ…」
「…うん…」
「本とに、連れてくんの?」
「…うん…」
「でもさ、来るかな??あいつ…」
「…どうかな~?」
「雅紀はさ、来て欲しいの?来てほしくないの?
どっちなんだよ?」
雅紀が連れて来たくせに、
煮え切らないから俺は少し腹が立った。