第13章 encounter〜出会い〜
俺たちの関係が…
足元から崩れていく様が、脳裏に浮かんだ。
俺たち3人の……
人に説明できないような、歪な関係。
それでも……
俺にはそれが、全てだった。
嫌なことも、憤りばかりの毎日も、
ここに居れば忘れられた。
Jを介して出逢ったニノとも、
不思議なんだけど、いつも間にか、
兄弟みたいな…家族みたいな…
上手い言葉が見つからないけど、
不思議な結束力で強く結ばれていた。
なのに……
そこに翔が入って来る…
俺にとって、唯一の守るべき居場所だったところに。
翔が……
「ああいうさ、世の中の汚いところなんか見たことも無いです~、なんて顔してるやつ見ると、反吐が出るんだ…
泣かしてみたくなっちゃうっていうの~?」
珍しく饒舌なJを、ベッドから起き上がったニノも、
黙って見つめている。
「あの可愛い顔を…哭かせてみたいって、
そう思っただけで、ゾクゾクするよな~?
あれっ?雅紀、何だよ、そんな顔して?
もしかして、お前も、あいつが好きとか??
それとも、もう喰っちゃった~?」
「いや…そんなことは…」
「よかった~。俺が最初な?」
「………」
こんなに燥いだJを、見たことなかった…
いつもどこか掴みどころがなくて、
一緒にいても、別の世界にいるような…
どんなに見つめても、その濃紫の瞳は、
俺を通り越して、その先の空を見ているような…
そのJが、キラキラした目で言うんだ。
『翔を抱きたい』って……
俺に拒否する権利なんかない。
ホントは叫びたかった。
他の人を見ないでって……
俺たち3人で、ずっと一緒にいたいんだって…
「今度の水曜に来いって、あいつに言ったんだ。
雅紀、絶対に連れて来いよ~」
「……うん…」
そう言うしかなかった。