第13章 encounter〜出会い〜
…………
聞き返さなくても分かっている。
さっきのヤツっていうのが、翔だってこと。
ここに呼ぶって言う事が、どういうことかってこと。
そして、
Jがそんな風に興味を持ったのは、
俺がJに出会ってから、
翔が初めてだってこと。
「なあ~、聞いてんの?」
「あ、うん…聞いてるよ?」
「あいつ、お前の友達なんだろ?」
喉が張り付くようになって、上手く話せない…
「あいつ、って…」
「櫻井翔…もう一度会いたいんだ~」
Jはそう言って、何でもない事のように笑った。
頭ん中に、Jの言葉がハウリングしていて、
俺の思考を奪っていく。
何も応えない俺のことなんか、
気付かないのか、知らんふりなのか、
Jは一人、オードブルの生ハムを頬張りながら続ける。
「あいつ…可愛い顔してたよな~?
雅紀、もしかして狙ってたの?
なら丁度いいじゃん🎵
俺に味見させてよ…泣き顔…見てみたいんだよね~」
…………
絶対に聞いているはずのニノは、
相変わらずピクリとも動かない。
俺はただ、ひとりで楽しそうなJの横顔を、
じっと見つめているだけだった。
………翔を……
何でここに連れて来たんだろう?
Jのことを、翔に自慢するつもりででもいたのか?
それとも逆に、俺にだってこんなちゃんとした友達がいるんだって…
仲間に自慢したかったのか?
自分の滑稽さに、もう笑うしかない…
よく考えれば分かりそうなことだったのに。
翔に…
Jが翔に興味を持つかもしれない…ってこと…