第11章 空蝉
タオルで身体と頭をガシガシ拭いて、
どうせすぐに脱ぐんだからという理由で、
パンツ一枚だけで廊下に出た。
そこで丁度、洗濯物を抱えた母親にバッタリ…
「ちょっと~、なぁに~?そんな恰好で♪
そうやってると、小学校の頃と変わらないわね~
なんか着なさいよ~」
「「は~い!」」
二人、顔を見合わせて少し笑った。
大分変ってんだろ~?
あんなとこや、こんなとこ…
それにさ。
着るんじゃななくて、もっと脱ぐんだけど…
まあ、そんなこと知ったら、母さん、
腰抜かすかな??
階段を駆け上がり、俺と潤は部屋に入ると、
先を争う様にベッドに入り込んだ。
そして、お互いの足で、お互いのパンツを引っ掻けて脱がし合った。
………素っ裸になって、隙間なく抱き合った俺たち。
「翔くん…」
「潤…」
抱き合ったまま、暫く動かないでお互いを感じた…
背中に回した手を、キュッと引き寄せると、
肌がピッタリと張り付くように沿った。
ああ…気持ちイイ…
潤がいなくなって、
当然こんなことはするはずないから…
悶々とする夜は、ひとりで処理してたし、
それも、ホントに溜まってきたって感じるまでしなかった…
まあ、スル気にもならなかった…
というのが本当かもしれない。
「翔くんのこと、思い出して、ひとりでシテた…」
「ふふ…」
「翔くんは?俺のこと思い出してなかったの?」
「思い出してたよ~」
「嘘だ~」
「何でだよ…嘘じゃね~し」
「じゃあさ、智の事は?」
「えっ??」
「思い出してた?智の事…」
……潤…
急に振られて、固まった俺。
当然思い出したわけでもないけど…
今まで全く触れてなかったくせに、
急に言うから、俺、どう言ったらいいのか…
シュミレーションしてなくて…