第11章 空蝉
………
………………
えっと〜…
何から話せば、いいんだろう?
でも、取り敢えずは、やっぱり……
「潤…俺さ…」
「翔くん、大好きだよ…」
「潤…」
潤が俺の肩にこてっと頭を乗せてきた。
「会いたかった♥️翔くんは?」
「俺だって!」
「んふっ❤️よかった〜。
もう潤はいらないって言われたら、どうしようかと思ってたんだ♪」
「そんなこと!!……言うわけないじゃん…」
潤は俺の首に腕を回し、
覗き込むように顔を近付けてきた。
「…会えない間も、ずっと翔くんのこと、考えてたんだ…翔くん……愛してる…」
潤の魅惑的な唇が、
俺のにゆっくり重なった。
「んっ…」
久々に味わう潤の甘さに、
身体の芯がズクンと疼く。
唇を優しく、可愛い音を立てて食べられて、
俺は思わず彼の頭を引き寄せ、
弾みで開いた口内に舌先を差し込んだ。
「……んんっ……ぁ…んふっ……」
肌が触れ合うことで、
一気に押さえていた潤への欲情が溢れ出す。
更に背中へと手を滑らせて、
抱き寄せようとしたその時、
潤は俺の胸を押して俺から離れた。
「…潤?」
「お風呂、あんまり長いと、おばさん変に思うでしょ?」
……潤の方が冷静だ。
「あ、そっか…そうだね…」
「続きは部屋で❤️」
…………何だか、潤が…
前と変わらないことが、逆に、
俺の不安を煽ったけれど…
ちゃんと話すと、
智くんとのことを避けてはいられないから。
しなきゃいけない『けじめ』に、
敢えて目を瞑った。
ほんとは、この時、きちんと伝えてやらなきゃいけなかったのに……
ずるい俺は、潤に言われるままに、
風呂から出た。
一度灯がついてしまった身体の熱を、
早く解放したくて…
理性的な判断を鈍られていたのかもしれない。