第2章 幼馴染
3号館501号室の中は、ピンクと白が基調の、
まさに『メイドカフェ』
いくつか設けられたテーブルには、お客らしき人にメイドがそれぞれついて接待していた。
もちろん、メイドはみんな男…
まあ観るに堪えられるのも居れば、どう観てもそれはない…というのも居る。
その中で、智くんは群を抜いて可愛らしい。
その証拠に、智くんが通ったら、お客がみんな目で追った。
つい立の奥に逃げ込もうとした智くんの手を掴んで引き留めた。
「逃げないでよ…これでも俺達、客だよ?」
「……呼んだ覚え、ないし…」
そうぼそぼそ言う智くんの声は聞こえないふりをして、
「どこに座ればいいかな~?…ここ、いい~?」
俺はワザとらしくキョロキョロしてから、空いている席に座った。
潤はさっきから涙を流して笑っていて、息をするのも苦しそうだ。
「…ご注文は?」
ぶっきらぼうにつっ立たままそう言う智くんに、
「ねえ、もう少し愛想よくできないの~?
それじゃ、お客から苦情が来るよ~(^^)」
揶揄かうようにそう言って、脚の先から頭の先まで、無遠慮にじろじろと眺めた。
「…見るな…」
恥ずかしそうに目を反らす智くん…心なしか頬も薄っすらピンクで…あ、メイクなのか?
でも、どっから観ても紛れもない『女の子』で。
いや寧ろ、その辺の女子よりよっぽど……
「冷やかしなら帰れよ。」
膨れっ面の智くんの手首を掴んで、引っ張ると、彼はバランスを崩して俺の膝に乗っかった。