• テキストサイズ

Baby blue【気象系BL】

第10章 激しい雨の中で



「翔くん、火傷したの?冷やさなきゃ…」

潤から離れ、俺に駆け寄る智くん。

「大丈夫だから…」
「でも…」


潤が…

見たことも無いような悲しい目をして、
俺を見つめていた。

「潤…」

堪らず俺は、潤に近付こうと一歩脚を出した。

火傷した足の甲が、じりじり痛んだ。

「来ないで!!」

「潤…」

「俺に近寄らないで!!
…翔くん…酷いよ…こんなこと…

俺の事、好きだって言ってたの、嘘だったの??」

「嘘じゃない!潤のこと、俺ちゃんと…」

「ちゃんと好きなら、どうして智なんかと」

「俺が誘った」


俺と潤は、智くんを見た。

智くんは俺の足元で正座したまま、ぽろぽろと涙を零していた。

「智くん…」

「潤…俺…俺が、翔くんを誘って、抱いて、もらったんだ…翔くんは、悪く、ないよ…翔くんは…今でも、お前が…」

しゃくりあげながら、とぎれとぎれに話す智くんを、潤はずっと睨みつけていた。


「だから…翔くんを…責めないで…翔くんは…」

「知ってたよ、お前が翔くんのこと好きだったってこと…」

「潤…」

「ずっと前から…子どもの頃から、好きだったよな?もう、それこそ気持ち悪いレベルで。
ずっと翔くんだけの事…」


潤の言葉に、俺は声も出なかった。

智くんが…

そして、それを気付いていた潤…


俺だけ…知らなかった、ってことかよ…


「だからわざと、お前の前で翔くんとのこと、見せつけてやったんだ!お前が早く諦める様に…」

「潤…」

潤が悲しそうに俺を見た。

「酷いだろ?俺…智がこそこそ、こんなことしたくなっても仕方ないんだ…俺が…いつも…」

「そんなことないよ、潤は全然…」

「来るなよ!!!」

もう一度、潤の側に行って抱き締めようとして、はっきりと拒絶された。


潤の目に…胸がちぎれそうだ…


/ 412ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp