〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第74章 望月の恋人《後編》❀徳川家康❀
「今日は泣くの禁止」
「……っ、家康のせいだからっ……」
「そっか、なら……」
「わぁっ……!」
掴んだ美依の手を、そのまま引き寄せれば、美依は小さく声を上げて、俺にしがみついた。
美依の身体を受け止め、そのまま背後に倒れる。
二人の身体は、花々の中に転がり……
きょとんとした美依の顔を覗き込みながら、意地悪く笑ってみせる。
「あんたを今から笑顔にしてあげる」
「へ……?」
「ほら…笑って?」
「ひゃっ…家康、どこ触ってるの?!」
さわさわと脇腹を撫でれば、美依はびっくりしたように身体をよじった。
そのまま身体中を撫で、唇で剥き出しの鎖骨を噛む。
美依はくすぐったかったのか、笑いながら、さらに俺の身体にしがみついた。
「もっ…家康、やめて〜〜〜!」
「よし、笑った」
「もお…家康ってば……」
「あんたは笑ってなきゃ駄目。でも…今度は黙って」
「え……っんぅ……」
我ながら無茶苦茶言ってるなと思いながら、今度は美依の唇を塞いだ。
濡れた舌先で、唇を割って絡ませて。
次第に表情を蕩かす美依を見ながら、改めて好きだなぁと思った。
たくさんたくさん口づけはしたけれど。
夫婦になってからは、一回目。
これからも、たくさん美依に口づけよう。
そして、愛してるって伝えよう。
(あんたへの果てしない想いは…これからの未来にきっと光輝くから)
「いえ、やす……」
「とろっとろになっちゃったね、顔」
「ごめん……」
「帰って、続き……しよ」
「……っ」
「夫婦になって初めての夜だから…甘やかされてよね」
小さく頷く美依を抱き締めて。
また、飽きるほどに口づけをして。
目眩がするほどの幸せに満たされる。
俺達の道は、交わったばかりだから。
試練も苦難も乗り越えて。
手を繋いで、どこまでも歩いていこう。
たまに寄り道をしながら。
一本の道を、肩を寄せ合って。
────そんな人生は、最高に幸せだ