〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第72章 君しか見えない-繋-❀伊達政宗❀
────お前は、自分の価値って解るか?
そこら辺の女にはない、
すごい魅力を持ってるって事。
お前は、誰よりいい女だって事。
『生きてるって実感、肌で感じたいんでしょ?
……痛いのは嫌だけど……これなら、いいよ』
あの日、俺はお前の温もりに救われた。
飢えた熱に差し伸べられた優しい手。
こんな女は初めてだと……
俺が、一生守ってやろうと心に決めた
美依、俺を信じろ。
俺の言葉だけを、俺の瞳だけを、
在るがままに、感じ取ればそれでいい。
お前を、誰より愛しているから。
自分を恥じるな、
そのままのお前でいい。
優しいお前のままで。
美依、お前は──……
俺の、唯一の女だ。
(美依、結局来なかったな…来ると思ったが)
隣国から帰ってきた日の夕方。
俺は自室の縁側から庭を見つめながら、小さくため息をついた。
美依とは『あの事』があって以来、顔も合わせていない。
今日帰ってきたと知れば、会いに来るかと思っていたが…それは的外れだったようだ。
今回、出発の時刻の関係で、すれ違ったままだったから…
当然なのかもしれないが、公務中、ずっと美依の事が頭にチラついていた。
俺があの日──……
美依に餓鬼っぽい態度を取ってしまったから。
俺は美依が泊まりに来た夜、美依を抱こうとして……拒まれた。
いくら拒まれたからとは言え、多少傷ついたとは言え……
あんな風に、部屋を出ていくべきではなかったのだ。
何を思い、俺を待っていたのだろう。
戻った時に見せた、迷い子のような瞳。
あれが、やたらと脳裏に焼き付いていた。
(大体、美依が男に慣れてないなんて…はなから解ってた事じゃねぇか)
胡座に頬杖をつき、また一つため息をつく。
これでも、女はそれなりに経験してきた。
だから、ちょっとした態度や仕草で、すぐ解る。
美依が本当に純粋で、初心だって事。
それを考えれば……
拒んだ事にも、なんとなく察しがつく。
多分、それは間違っていない。
美依は、きっと────…………