〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第70章 天色、椛、幸福の螺旋❀織田信長❀
────燃ゆる、色づく椛に負けないくらい鮮やかだ
乱世という、激動の世界で
俺が手にした、唯一の温かなぬくもり
それは極彩色なのに、混じりけが無くて……
深紅に心を染め上げる
何者にも負けないくらい、眩しくて
脆いくせに、最も強い
ああ……幸せとは、こういう事なのか
そんな風に、馬鹿みたいに感じて
この世も捨てたものではないと、改めて思う
「美依……」
「はい?」
「帰ったら天主に直行しろ、すぐに貴様を抱く」
「えっ…信長様……!」
「色々待てん、俺を我慢させるな、良いな?」
「〜〜……っっ!」
「俺は決定事項しか言わん、返事は『はい』だけでよい」
「は、はいっ……」
「よし」
「信長様〜美依〜〜、置いていきますよ〜?」
「うるさい、秀吉。酔っ払うとタチが悪い奴だ。行くぞ、美依」
「きゃっ……」
ふわりと美依を抱き上げ、うるさい酔っ払い共の後を追う。
今は許してやるが、帰ってからも邪魔立てすれば…
それは誰であれ、容赦はしない。
────美依、貴様はずっと俺の腕の中に居ろ
何より尊く、愛しい者よ
俺に全てを差し出し、そして……
俺にぬくもりを与え続けろ
そして、共に歩く先に幸が多いことを願って
俺がまた、凍りついたとしたなら……
また、極上の春を、俺に呼び込め
貴様が笑っていれば……それは叶う
夜の紫が、茜色の空を覆い始める。
明けない夜は無い。
乱世の夜も、いつか必ず明ける日が来る。
それをこの手で成すのは──……この俺だ。
腕の中の愛しい者と一緒に。
その夜明けを見るまで、立ち止まったりはしない。
共に生きよう、どこまでも。
蒼い宝石の意味と同じように。
────『永遠』と『幸せ』を抱きし締めて
『天色、椛、幸福の螺旋』
終
✿...*゚すぺしゃる さんくす
micha様