〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第68章 蜜な想いはくちびるから《後編》❀徳川家康❀
「いえやっ…ぁっ、こんなの、やだっ……!」
「嫌なの?政宗さんならいいの?」
「んぁっ…違っ……!」
「……っっ、何が違うの……?!」
思わず声を荒立て、美依の喉に歯を立ててしまった。
そこに赤く、くっきりと痕が残る。
俺の所有痕、こんな風に付けたって、美依の心は。
────あんたの心は、俺のものじゃないの?
「俺が口づけたら、逃げたくせに」
「家康、それは……!」
「嫌だったんでしょ、政宗さんにはあんなに大人しく口づけられてたくせに……!」
「聞いて、家康……!」
「何、何を聞くの?私は政宗さんのものだって?そんなの聞きたくない、だって、だって俺は……!」
みっともないのは解ってる。
馬鹿みたいな事をしてるって解ってる。
それでも、暴走を始めた心は止まらない。
好きだ、欲しい、あんたが欲しい。
心が叫んで、止まらない。
「あんたの事が、好きなんだよ…………!」
美依の胸に顔を埋め、くしゃりと衿元を掴む。
ドクンドクンと美依の心臓が高鳴っているのが、痛いくらいに響いていた。
温かな美依、優しく可愛い美依。
こんなにも恋焦がれて、止まらなくて。
────狂オシイ程二、君ヲ求厶
「いえや、す……」
すると、美依は胸元にある俺の頭を、優しく手で撫でてきた。
壁に背を付け座る美依に、しがみつく俺の頭を。
何度も何度も優しく、髪を梳きながら撫でる。
「私、恥ずかしかったの……」
「……」
「家康に口づけられて、自分の気持ち自覚しちゃって、恥ずかしくて、それで……」
「美依の、気持ち……?」
ぽつりと呟くと、美依は俺の両頬に手を当ててきた。
そのまま力が掛かって、前を向かせられる。
美依の顔が視界に入ってみると、美依はほんのり頬を赤く染め、困ったように笑っていて……
その顔がだんだん近づいたと思ったら。
柔らかな温もりが唇に落ち、ふわりと掠めとられた。