〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第66章 牡丹と微熱に魅せられて〖誕生記念〗❀真田幸村❀
────お前が愛しすぎて、息も出来ない
身に巣食う、灼熱の想いは
いつしか抑える事が出来なくなって
お前が欲しいと悲鳴を上げる
お前も、俺を好きって言えよ
甘ったるいりんご飴みたいに
頬を染めるお前は可愛くて
きっと砂糖なんかより、ずっと甘い
そんなお前を、丸ごと堪能したいから
繋いだ手から、気持ちよ伝われと
そう願わずにいられない
でも、お前を捕まえたとしたら
もう絶対に絶対に離さないから
温もりも全部、溶け合わせたなら
お前を必ず幸せにしてやるから──……
(もう来るな、美依……)
本日七月七日、時刻は夕刻。
俺は神社の鳥居の下で、幾度目かのため息をつき、雑踏する人混みの中に目を凝らした。
今日は、この神社で夏祭りがあるらしい。
すでに神社は人で混み合って、屋台の匂いやら熱気やらが、少し離れた鳥居に居ても感じる事が出来る。
そんな中で俺は待ち合わせをしていた。
相手は美依、向こうから今日逢瀬をしようと誘ってきた。
理由は…今日俺が誕生日だからだ。
『幸村、誕生日の夜、一緒に夏祭り行こうよ。一緒にお祝い、してもいいよね?』
そう言って、ふにゃふにゃ笑った美依。
本当に…可愛すぎて勘弁してくれと、必死に自分を抑えた記憶が蘇る。
(……呆れるくらい惚れてるよな、美依に)
美依への恋心を自覚したのは、随分前だ。
健気で素直で、芯が通ってて……
そして、笑うと笑顔が可愛い。
そんな魅力的な美依に、惹かれずにはいられなかった。
だが──……
顔を合わせれば、美依とは喧嘩ばかり。
今日の逢瀬がすんなり決まったのが、奇跡みたいなもんだ。
だから、恋仲なんて、程遠い。
俺がいくらあいつを想っても……
美依にとっては、友達のようなモンにしか映ってないかもしれない。
────だから、今日こそは先に進む
誕生日の今日くらいは素直になって、想いを伝えたい。
それで今の関係が崩れてしまっても……
もう、この想いは抑えきれなくなっているから。
好きすぎて、堪えられない。
俺は決意を固めるように、握りこぶしを握って…
一回ごくりと、唾を飲み込んだ。