〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第63章 お兄ちゃんじゃいられない!〖共通〗❀秀吉VS光秀❀
────俺は、お前を認めている
信長様の右腕と左腕
どちらも無くてはならなくて
お互い、信用や信頼からはかけ離れていても
腹ではきちんと解ってる
でも、美依に関しては別だ
絶対に他の男には任せられない
それは、お前も例外ではないから
だから、絶対お前には譲れない
美依を守るのは俺だ
そして、甘やかすのも俺だ
この想いだけは、絶対お前には負けない
いくら美依にとって、お互いが兄貴分でも──……
(ん?美依……?)
夏の日差しが照りつける安土城。
梅雨が明け、真っ青な空からは太陽が眩しいくらいに輝く中。
城の書庫で、小さな後ろ姿を発見した秀吉は、不思議そうに首を傾げた。
美依が踏み台に登り、必死に腕を伸ばしている。
高い本棚の、さらに上に積まれた本を取ろうとしているようだが…
「ん〜、あとちょっと……!」
その姿は、かなり危ない。
踏み台の上で目一杯背伸びをし、足元はぐらぐらと揺れて心許なく。
今にも踏み外しそうな、そんな危うさがあった。
(危なっかしいな、俺が取ってやるか)
心の中で、秀吉は小さく苦笑する。
そのまま、静かに美依の背後から近づいた。
────が、その刹那
「取れたっ……あ、わわわわわっ!」
「!!」
ぐらんぐらんと踏み台が揺れる。
よく見てみれば……
その踏み台は、四つの脚の内の一つが、一冊の本を踏んでいるのが目に入って。
つまり、宙に浮いてしまっている脚もあるわけで。
浮いてしまっている脚の方に体重が掛かったのか、美依の重みで踏み台は傾き……
その傾いた踏み台に乗っていた美依は、揺れに揺られて、身体が後ろへと放り出された。
「わぁっ……!」
「……っっ美依………!!」
────ドサァァァっっっ!!
「うっ……」
「いって……」
小さく呻き声が聞こえ、思わず小さく息を吐く。
途端に頭の上から、バサバサと本が降ってきて、頭を直撃した。
…………痛い以外の何者でもない