〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第60章 君色想う、葵の日 ❀石田三成❀
────睦月の寒い寒い、ある日の事
安土城の広間には、信長様を含む武将が勢揃いした
「そんな訳で、皆様のご意見を伺いたいのです!」
私が皆を見渡し、ぴっと人差し指を立てると。
まずは家康様が、はぁ〜と素晴らしいため息をつき。
続いて、政宗様と秀吉様が顔を見合わせ苦笑した。
信長様は変わらずの威厳で頷き。
光秀様もいつも通り不敵な笑みだ。
「三成…お前が招集かけるから、何事かと思えば……それ、安土中の武将で話し合う意味ある?」
「真夜中に申し訳ありません、家康様。でも、美依様が眠っている今が絶好の機会なのです」
「まぁ、一理あるな。仕方ないから一緒に考えてやる、美依の誕生日祝い」
「ありがとうございます、政宗様!」
そう、実は──……
もうすぐ、私の愛する美依様の誕生日なのです。
恋仲になって、初めての誕生日。
せっかくならあっと言わせ、喜ばせたい。
しかし……私はやはり駄目な男です。
考えても考えてもいい案が浮かばない。
美依様を最大級に喜ばす方法が。
だから、皆様に招集をかけた。
きっと素晴らしい武将の皆様なら、私が考えつかないような、素晴らしい案が出るに違いない。
「しかし…俺が三成に呼び出される日が来るとは」
「すみません、信長様。この御恩は必ず」
「それで三成、お前自身はどのようにしたいんだ?」
「そうだな、先ずはお前の案を聞きたい」
「光秀様、秀吉様。ありがとうございます!私は、当日美依様を逢瀬に誘いたいなと思っています」
私がそう言うと、政宗様が腕を組んで唸った。
家康様も顎に手を当て、思案してくださっているようで…
やがて、政宗様がにやりと笑って考案してきた。
「呉服屋に連れて行くのはどうだ。あいつは反物屋はよく行くだろうが、誰かに着物を贈られたことはあまり無いんじゃないか?」
「成程、呉服屋……」
「見立てて、そのまま贈ってやれば喜ぶかもしれないな」
「ふんふん……」
すると、秀吉様もそれに賛同する。
私は筆に墨をつけ、聞いたことを紙に書き留めていった。
呉服屋で着物を見立て、そのまま贈るなんて考えなかったな。
お二人はさすがだ、と感心してしまう。