〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第59章 可憐に華、恋せよ乙女《後編》❀明智光秀❀
「お前ら、ようやくくっついたか、良かったな」
すると、それを聞いた秀吉が真っ青になり。
こぶしをワナワナと握って、俺と美依を見ると、絞り出すように言葉を発してきた。
「くっついたって、ま、まさかお前達……!」
「なんだ秀吉、何か問題でもあるのか」
「大事な妹をお前なんかに任せられるか、光秀!」
「やれやれ…お前の過保護ぶりには本当に頭が痛いな。お互い好き合って恋仲になった、お前の出る幕はない、秀吉」
「なっ……!」
「それに、もう身体も重ねた、何言っても無駄だぞ」
「ちょ…光秀さん、それは!」
今度は美依が赤面する番だ。
別に間違った事は言っていないだろう?
だが、それを聞いた秀吉は、今度は真っ白になり。
ふらっと身体が傾いたかと思ったら……
その場にひっくり返り、目を回してしまった。
……少し言い過ぎたか?
「きゃー、秀吉さん!」
「光秀さん…あんた世話かけさせないでくださいよ。秀吉さん、大丈夫ですか?」
「放っておけ、その内目を覚ますだろう」
「お前なー、無責任だぞ。秀吉の美依溺愛っぷりは知ってるだろ」
「だが、邪魔される筋合いはないからな、政宗」
家康が秀吉の側に駆け寄り、脈を取る。
その横には、苦笑いの政宗。
美依は俺のすぐ横で赤くなってるし。
それを見て、俺は思わず苦笑が漏れた。
────すったもんだ、すったもんだ
今日も安土は平和だな、まったく。
今は乱世。
それなのに、色恋ひとつでぶっ倒れたり、わーわーと騒いだり……
まさか、その中心が己になろうとは思わなかったが。
色恋沙汰とは無縁。
むしろ、こうして光の下に来る事自体、俺にとっては考えられない事だった。
────だが、これも美依のなせる技なのだろう
美依と言う光に照らされて……
馬鹿みたいに痴話喧嘩をしたり。
その後仲直りして、笑い合って、
熱い肌を、重ね合ったり。
全て美依がくれた幸せだ。
呆れるくらいの素直さに毒されて。
いつの間にか、俺も染まっている。
だが、それも悪くない。
お前に冒されるなら……
それは最高に甘い、不治の病だから。