〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第59章 可憐に華、恋せよ乙女《後編》❀明智光秀❀
────可愛い可愛い美依
俺がお前に戯れでいじめていると、
本当に思っているのか?
素直に、すぐふくれっ面になって
でも甘やかしてやれば、恥ずかしそうに、
真っ赤になって、可愛らしく微笑む
そんなお前を愛しいと……
守ってやりたいと思い始めたのは
一体いつからだったか、記憶が曖昧だ
そのくらい自然にお前に惹かれていたのだろう
お前を縛ろうとは思わないが……
それでも、俺にお前を守らせろ
俺だって、堪えている感情くらいある
お前の事になると、歯止めが利かなくなるからな
────美依、お前を愛しているよ
いつまでも可愛い、俺だけのお姫様でいてくれ
「美依が……怪我?」
俺が公務から戻った時、もう朝になっていた。
信長様に事の次第を報告し、さぁ御殿に帰って休もう。
そう思っていた矢先、政宗から伝えられた事。
それは俺の眠気を吹き飛ばし、心に衝撃を与えた。
話を聞いてみれば……
針子友達と会って、帰り道に男達に襲われ。
美依は友達を庇い、怪我をしたと。
なんとも小娘らしい理由だった。
しかも……
どうやら以前美依を襲ったのと同じ男達という事で。
あの時、すんなり逃がさず、もっとこってり懲らしめておけば良かったと……
今更ながら、自責の念が生まれた。
「それで、美依はどうしてる?」
「部屋で大人しくしてるだろ、足を捻ってるからな」
「そうか……」
「あとな、光秀。すげぇ言いにくいんだが……」
そう言って、政宗がもたらしてくれた情報。
それは、俺の心を一気にざわつかせ……
美依に対して、疑心暗鬼になった。
何故、美依がそんな事をした?
俺の不安や苛立ちは膨らみ……
徹夜明けと言うのも忘れ、すぐさま美依の部屋に足を向けた。
(美依を問い詰めなければ)
この苛立ちの意味を、俺は自覚していた。
きっと美依もそうであろうと言う甘い気持ちもあった。
でも───………
もし、違っていたとしたら?
焦燥感が走り、拳をぎゅっと握る。
呆れたように政宗が俺を見つめていたが……
振り返って言い訳する余裕も、その時の俺はなかったのだ。