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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第56章 〖誕生記念〗二人だけの誕生日《前編》❀織田信長❀





「兎も逃がしたのに、何で料理を作る」

「それは、何か買ってきてですね」

「貴様、金はあるのか」

「あ!お金ない……!」

「金もないのに、料理を振る舞うなどと申したのか?」




私の支離滅裂な発言に、少年信長様はくっくっくっと可笑しそうに笑い……

でもなんだか、とっても嬉しそうに。
眩しい笑みになって、呆れたように私に言った。









「……可笑しな女だな。歳上だろう、貴様」









その言葉に、私も思わずぷっと笑う。
さっきの私をまるごと疑うような視線から、少しだけ柔らかくなったような気がして……

私は、私が知っているあの人の手よりも、随分小さいその手を、改めてきゅっと握りしめた。
























────きっと出逢った貴方は

まだ、天下取りの野望も持っていなくて
その手も、まだ血には濡れていなくて

きっと純粋で温かな少年だったに違いない

誕生日を誰も祝ってくれない事が、少し寂しい
そんな、可愛らしい信長様

私が何故、今頃この時代に飛ばされてしまったのか

その意味は、今は解らないけど、でも
今はこうして、貴方のお誕生日を祝わせてください

誰も祝ってくれる人がいないのならば、
二人でこっそりお祝いしましょう?


嵐が来て、私が居なくなってしまう前に──……







その日、ワームホールに巻き込まれた私は
運命的にも、また愛する貴方と出逢った。

これは、そんな神様の悪戯がもたらした、
ちょっと不思議なお誕生日の出来事。

私達が、きっと再びめぐり逢うための……

小指と小指に『約束』の印を結んだ、
そんな一夜の、夢みたいなお話。












《生誕記念》二人だけの誕生日 / 織田信長
〖前編〗終
〖後編〗に続く────…………

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