〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第55章 尋常に勝負!-秘密の恋文-❀家康END❀
────夏の、まるで炭酸水みたいな恋の行方
「ほら、美依!そのまま三歩前だ!」
「あ、そっちじゃないよ、危なっかしい……!」
「おい、小娘がこのままだと、石にけつまづくぞ」
「おい、政宗!何スイカの前で腕広げてんだ?!」
「これなら腕の中に美依が来る」
「なっ…させませんよ、政宗さん!」
「おいお前達、スイカを蹴飛ばすな!」
「だから、小娘がけつまづくぞ、今にも……」
「ちょっと、ちゃんと誘導して……きゃあ!」
すったもんだ、すったもんだ。
決着がついて、完全勝利を掴み取ったはずでも。
結局は、皆で騒ぐのは変わらない。
あの子の心は手に入れたけれど。
いつ、かっさらわれても、おかしくないのだと。
暑い暑い、噎せ返るような夏の空気が、
想いの熱さまで証明しているような気がした。
きっと心沸き立つ季節だから。
夏の誘惑に負けて、あの子の心を逃がさないよう、
俺も全力で防衛せねばならない。
────だって、大好きだから
あの子の心は、決して逃がしはしない
「ね、家康……」
「うん、何?」
「楽しいね」
「……そうだね、すごく」
そして、幸せの意味を掴み取る。
一緒にいる事で幸せになって、それを感じて。
遥か未来の幸せを一緒に夢見るんだ。
美依となら見れるよ。
力を得た先がきっと戦いではない。
そんな、幸せな未来が。
それを掴めるくらい、俺だって強い筈だ。
暑い暑すぎる季節に手にした恋は、
檸檬のように甘酸っぱく、そして強い。
したたかさを兼ね備えた──……
眩しいくらいに煌めく『愛』になった。
《尋常に勝負!-秘密の恋文-/ 家康END》
終
✿...*゚すぺしゃるさんくす
saku様