〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第54章 尋常に勝負!-秘密の恋文-❀政宗END❀
「わっ…政宗どうしたの、その格好……!」
ずぶ濡れの俺を見て、美依が頓狂な声を上げる。
俺はそんな美依を見て、不敵に笑い。
『水も滴る、いい男だろ?』と答えた。
────熾烈を極めた、美依の恋文争奪戦
俺が川岸に引っかかった瓶を、誰よりも早く拾い上げ、ずぶ濡れのまま中の恋文を確認した。
美依らしい綺麗な文字で書いてあった文は、たった数行。
でも、確かに書かれてあったんだ。
だいすきだよ、政宗……と。
想い合っていた。
美依も俺の事が好きだと……
俺の一方的な片想いではなかったと、解った刹那。
すぐにでも、美依に逢いたくなって。
俺は、その足で安土城のあいつの部屋を訪れた。
ずぶ濡れでも、なんでも良かった。
────抑えきれない激情が、俺を突き動かしていた
「拭かないと、風邪ひいちゃうよ!」
「夏だし、すぐ乾くだろ」
「屋内に居て、乾くはずないでしょ」
「ははっ、そうか」
「ちょっと待って、拭くもの……」
「いい、美依」
俺は踵を返して行こうとした美依の腕を掴み、引き止める。
美依は俺に腕を掴まれ、びっくりしたような表情で俺を見上げながら首を傾げた。
「行くな、お前に伝えたい事がある」
思わず熱っぽい視線を向けると、美依は戸惑ったように息を飲み、見つめてきて。
それがすでに、何か期待されているような視線に思えるあたり、この想いは重症かもしれない。
「あ……」
俺はそのまま美依の腕を引き、濡れた腕の中に、その小さな身体を掻き抱いた。
ひやっとした身体に、美依の温もりが移る。
その柔い体温を感じるだけで……もう駄目だった。
「……お前の文、読んだぞ」
「あ…そ、そうなの……?」
「だいすきだよ、政宗って書いてあった」
「う、うん……」
「だから、お前に逢いに来た。秀吉や家康と、その文を取り合って、川に落ちて、ずぶ濡れになって……でも、すぐにお前に逢わずにいられなかった」
少し身体を離し、美依の顔を見る。
美依の瞳は若干潤んでいて…それだけで身の内の熱が、燃えて焦げるような心地になった。