〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第49章 私を見つけて、戯れに❀謙信END❀
「お茶、持ってきましたよ〜!」
その時、廊下の奥から美依が姿を現した。
にこにこと相変わらずの愛らしい笑顔。
何も知らずに……呑気な女だ。
そんな風に思って、思わず苦笑が漏れた。
「……二人ともどうしたんですか?」
「何でもない、美依。お前はそのままで居ろ」
「……?」
「美依、お茶をこっちに頂戴」
「あ、はい、どうぞ…家康」
「美依、また三人で山に行くぞ」
「山に?わぁ…楽しみです、またお弁当持って行きましょうね!」
「何も疑わないんだね…本当に呑気だね、あんた」
「ん?家康、何か言った?」
「別に、何も」
「美依も座れ、よもぎ餅を食ってしまうぞ」
「はい!」
────心に広がる、愛しさよ
戦でいつしか温かさを失ったこの心に
熱を再加熱させたのは、お前自身だ
お前だけを、苦しいほどに愛している
だから……傍においで
命ある限り、心を燃やし続けて、
お前の為に生きると誓おう
今度こそ、我先に見つけてやる
だから、寝言ではなく、直接言ってくれ
その薄桃の唇から、愛らしい告白を
「……美依」
「どうしました、謙信様?」
「愛している、美依」
「……っっ、それは、私もですからっ……」
「ちょっと…いちゃつくなら帰ってくれる?」
二色の瞳に映るのは、春麗らかな景色。
深碧の草が萌え、七色の花々が咲き乱れ、
そして、俺の隣には、愛しい女。
(……人の生とは、本当に色鮮やかだな)
俺は、その目まぐるしさに、笑みを漏らし…
そして、暖かな春の日に、身が溶けるような感覚を覚えたのだった。
《私を見つけて、戯れに / 謙信END》
終
✿...*゚すぺしゃるさんくす
nayuta様