〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第49章 私を見つけて、戯れに❀謙信END❀
俺が美依の居る山小屋を見つけたのは、すでに夕陽が傾きかけた時だった。
さすがにもう、徳川家康が美依を見つけただろうと、そう思っていたが……
美依が中で小さくなり、すやすやと眠っているのを見て、思わずほっとため息が漏れた。
(随分と可愛らしい眠り姫だ)
俺は美依が起きないように、優しく抱き上げ、自分の膝に座らせると身体を胸にもたれ掛けさせる。
こんな板の間で眠っていたら、痛いだろうし、冷えてしまう。
新緑とは言え、まだ夕刻過ぎは冷える。
本来ならば起こさねばならないが……まだ少し、美依の寝顔を見ていたかった。
(肌は真っ白だな、まつ毛は長くて濃い…下唇は少し厚めか、それにしても柔らかそうだ)
ここぞとばかりに、美依を間近で観察する。
美依は絶世の美女という訳では無いが、とても愛らしい顔立ちで……
例えて言うなら、心に安らぎを与えてくれる、小さく可憐な野花のような。
そんな印象をずっと持っていた。
しかし、いつの日からか……
その野花が、堪らなく愛しいと思い始めたのだが。
「美依……」
「んっ……」
親指で下唇をやんわり押すと、美依は小さく息を漏らした。
それが何故か堪らなく色っぽく感じて……
俺は衝動的に、美依の唇を己の唇で塞いだ。
ちゅっ…ちゅっ……
何度も何度も何度も。
啄むように角度を変えながら唇を重ねる。
柔らかい美依の唇、紅の味は女っぽくて。
それを堪能するような、口づけが止まらなくなっていると……
まるで口づけで目を覚ましたかのように、美依がその瞳をゆっくり開いた。
「謙信、さまぁ……?」
「おはよう、美依」
「あれ、私、あれ……?」
「隠れているうちに眠ってしまったのだ。寒いなら、もう少しこうしていてやろう」
若干微睡んで、舌足らずな話し方が可愛らしい。
美依を温めるように、身体に腕を回して、軽く胸元に引き寄せる。
すると、美依はようやく抱き締められている状況に気がついたらしい。
少し頬を赤く染め、何やら困ったように腕の中から見上げてきた。