〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第46章 だいすきだよ。❀真田幸村❀
「解った、今回はすぐに謝りに行く」
「解ったならいい、この襟巻きも持って」
「……さすがにその柄は駄目だろ、佐助」
「なら、こっちは」
「お前の持ち物はなんで撒菱柄ばっかなんだ…店のから持っていくからいい」
「じゃあ、頑張って。店番してるから」
「おー、ありがとな」
俺は店から紅梅色の襟巻きを手に取り、そのまま美依の後を追った。
今日も晴れて、良い天気。
まるで美依の笑顔みたいな、清々しい青空が広がって……
俺の焦る心とは裏腹。
どこまでも澄みきった春風が、俺の頬を掠めて、撫でていった。
────愛しいお前、心に想ふ
お前に言いたかった言葉がある。
喧嘩したかった訳じゃなくて。
その口づけの痕、からかわれて気にするなら……
俺と一緒に、国へ来ないかと。
もっと近くで、お前を守れるから、
だから、俺と一緒に来いよ、と。
なかなか切り出せなかった思い。
やっと、話す勇気を持ったから。
そうしたら、お前はどんな顔をするかな?
喜ぶか、寂しがるか、
それとも……泣くかな。
「おい、美依!ちょっと待て……!」
「幸村……」
呼び止めて、そして伝える。
赤裸々な想いを、俺なりに。
不器用でも……素直に。
「すげーすきだから…戻って来い、美依」
そうしたら、お前は笑うんだ。
困った様に、はにかんだように。
俺の好きな可愛い笑顔で。
そして、また言ってくれ。
俺のすげー好きな言葉。
可愛い鈴のなるような声で、
俺を虜にする、魔法の囁きを。
『だいすきだよ』と、一言。
それだけで、俺は強くなれる。
お前を守れる、一本槍に。
そうしてまた、俺はまたお前に恋をするんだ。
《だいすきだよ。/ 真田幸村》
終