〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第46章 だいすきだよ。❀真田幸村❀
────忘れるわけねーだろ
だって、お前と俺の大切な記念日だから
お前が俺に出会って、そして……
想いが通じ合った、一番の最高の日
でも……俺はこんなだから
素直にお前に『ありがとう』なんて言えない
それでも、少しは心を決めて
俺だってお前に伝えたいと思ってる事がある
好きだとか、愛してるとか
そんなんじゃ全然足りねーから
だから、お前の身体に教えとく
この身に巣食う、熱がどれだけ熱いか
俺がお前の事、どれだけ思ってるか
じっくり教えてやるから、覚悟しろよ?
「ねー幸村、明後日は何の日だっ!」
(……また始まった)
桜も散り、新緑が萌える皐月。
茂る木々も青々と色づく今日……
俺は美依の幾度目かの問いかけに、心の中で愛しさを覚えつつも、小さくため息をついて見せた。
俺は今日も変わらず、安土の市で店を広げている。
信長と主君信玄様、それから謙信様の間で、平和の協定が結ばれてから……
もう戦はないし、こうして安土にこっそり忍び込む理由も無いのだけれど、それでも俺は昔と変わらず安土の町に居た。
理由は、恋仲の美依に会うためだ。
織田軍の連中が、美依にとって大切な仲間だと言うのが解っているから。
戦もないのに、引き離すのは可哀想だと。
俺は美依を安土に残したままでいる。
(……少し大切にされすぎてるのが、気になるけどな)
いつかは連れて帰りたい……
そんな風にも思うが、なかなか美依には切り出せぬまま。
それを知ってか知らざるか。
美依は毎日のように市に顔を見せ、俺に会いに来る。
そして、最近の美依はと言うと……
顔を見るたびに、コレだ。
『○○は何の日だ』と、すぐ俺に問いかけてくる。
「知らねー」
「ね、ちゃんと考えて?明後日だよ、明後日」
「だから知らねーって」
俺の真横にぴったりくっ付いて座る美依は、俺の顔を覗き込んで、目をきらっきらさせていた。
なんで、こう可愛いんだ……
そうは思っても素直に言えるはずなんてなく。
俺は内心を知られないように、そっぽを向くのが精一杯だ。