〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第43章 微色の三日月《後編》❀伊達政宗❀
『もう、冗談やめてっ……』
そう言って顔を真っ赤にした美依
お前は俺のこと、好きなんだろ?
そんなのは顔を見れば一発で解る
俺は別に冗談でもなかったんだがな
合意を得られれば、すぐに奪っても良かった
俺は誰にでもこんな事を言ってる訳じゃない
確かに冗談っぽかったのは認めるけど
好きな女と身体を重ねたいのは当たり前だ
きちんとお前に気持ちを伝えるから、待ってろ
好きな女を守りたいのは当然だ
だから、俺の事信じて、守られてろ
────美依、俺はお前の事、好きだ
「おい、そこの二人」
美依の護衛を始めて、十日目。
出先で声を掛けられ、俺と美依は振り返った。
見てみれば、小汚い男達が三人。
お世辞でも、学のあるようには見えない……
どこぞのゴロツキのような風体の男達。
にやにや気持ち悪い笑みを浮かべながら、こちらを見ていた。
「……なんだ、お前ら」
俺は咄嗟に美依を背中に隠し、男達に向き直る。
すると、男達は俺達に近づいてきて、品定めするように頭のてっぺんから爪先まで視線を送ると……
変わらずのにやにや笑いで、俺に言ってきた。
「ちょっと顔貸してもらおうか」
「……は?」
「話があるから、来いって言ってんだ」
「あいにく、俺はお前らに話は無い」
「うるせぇ、さっさと来い!」
声を荒らげたかと思ったら、グイッと腕を捕まれ、引っ張られる。
あんまり城下で騒ぎにするのも、なんだな。
そんな事を思い、引っ張られるがまま移動を始めた。
背中の美依にちらりと視線をやると、美依は顔を曇らせ不安そうで……
俺はそれを拭い去るように、不敵に笑ってみせた。
「心配するな、美依」
「政宗っ……」
「大した事じゃない、俺を信じろ」
「うるせぇ、喋んじゃねぇ!」
「お前らの方がうるせぇんだよ」
再度声を荒らげた男達に反論しながら、そのまま移動を続け……
すっかり人通りの少ない裏路地に連れ込まれた。
美依を背中に、男達と対峙すると……
男達は俺をまたにやにや笑いながら、蔑むような口調で言ってきた。