〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第41章 《御礼作品》私のイケナイ執事さん《後編》❀織田信長❀
「美依……」
「…………」
「貴様、いつまでむくれている」
「むくれてなんて、いませんっ……!」
むすっと頬を膨らます私を、背後から掻き抱き。
信長様はクスッと不敵に笑みを漏らした。
────天主での『お嬢様と執事ごっこ』の後
私と信長様は一緒に湯殿に来て、二人で湯浴みをしていた。
別に一緒にお風呂に入るのが嫌だとか、そーゆー訳じゃない。
じゃあ、何故。
私がこんなにふくれっ面になっているかと言うと……
「湯浴みがしたいと言ったのは、貴様だろう」
「確かに言いましたけど……!」
「けど、なんだ」
「なんであのまま運んだりするんですか…!」
そう、私が湯浴みをしたいと言った時。
信長様は『執事の信さん』の格好のまま、私を抱きかかえ、城の中を歩き……
そして湯に浸かって、隅々まで身体を洗われ、今に至る。
家臣の人達は、みんな目を丸くして見ていた。
当たり前と言えば、当たり前だ。
「俺は最後まで『執事』として貴様に奉仕してやろうと…」
「あれは、天主の中だけでいいんです!」
「成程、不満だったわけだな?」
「不満…ではないです、けどっ……」
(あーもう、何言ってんだろ……!)
信長様のあぐらの上で、小さく丸くなる。
確かに『執事の信長様』が嫌な訳ではないけど。
でも、あれは二人きりの時だけ見たいと言うか……
燕尾服の信長様を独り占めしたい。
そんな、単なるわがままでしかないのだ。
「他の人に『信さん』を見せたくないんです」
「……」
「すみません、ただのワガママ、です……」
私が、しゅーんと小さくなっていると。
クスッと笑った声が聞こえ、信長様が背後からぎゅっと抱き締めてきた。
そして、耳元に吐息を感じたかと思ったら、耳たぶをはむっと噛まれる。
突然の事にびっくりして、私がチラッと背後を振り返ると……
信長様は昂揚した顔で、私に甘く囁いてきた。
「本当に貴様は愛らしいな、美依」
「……っっ」
「別にあれは格好だけだろう、俺が『こう』するのは……貴様の前だけだ」
そう言って、頬にちゅっと口づけ。
また耳元で……甘く蕩ける台詞を吐く。