〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第39章 サクラノアメ-朔夜-❀石田三成❀
「私も思っていましたよ。貴女が消えたと聞いて、今すぐ貴女の元に飛んでいきたいと」
「三成君…」
「貴女がここで泣いているような気がして…きっと貴女と初めてこの桜を見た日から、私の想いは始まっていたんです。気づくのに遅くなってしまいましたが…」
私は美依様に向き直ると。
その目の前に、すっと跪いた。
そして、一旦絡んだ指を離し、改めて手を取って…
その甲に優しく口づける。
誓いを立てるように。
美依様を下から見上げながら、ありったけの想いを込めて言った。
「貴女を何者からも守ります。身体も、心も、貴女を彩る全てが愛しいから。私に貴女を愛させて」
「三成、君っ…」
「あの夜が過ちならば、全てやり直します。貴女を愛していますと伝えて…どこにも行くなと、貴女を抱きます」
「……っっ」
「これから私と共に歩んでくださいますか?貴女を…必ず幸せにします、傷つけた分、私の全身全霊を賭けて」
まるで、乞うように見つめていると。
美依様の瞳に、だんだんと涙の膜が張ってきて…
こくっと小さく頷いたら、その雫がはらりとこぼれ落ちたのが解った。
愛しい愛しい貴女。
途中すれ違ったりしたけれど…
今私達は一つの線を歩もうとしている。
離しません、決して。
離せません、貴女が愛おしすぎて。
「ありがとう…大好きですよ」
刹那、柔らかい風が吹いて…
はらりひらりと桜の花弁が散った。
私達を優しく包み込むように。
悲しみの全てをぬぐい去るように、心の中を舞っていった。
────貴女に全てを捧ぐ
悲しみの夜を越えて
結び合えた、奇跡のような恋
不器用ながらも踏み出した私は
これからもみっともなく貴女に煽られ
心に宿りし熱い想いを持て余すのだろう
けれど、貴女が傍に居たならば
何も…何も怖くはない
先のことは解らないけれど、それでも
貴女と言う光があれば、きっと幸せしかないのだから
桜の雨が降り注ぐ
心を薄紅に染めて
優しく儚く降り積もっていく
タガを外した、心の叫びは
今日も『愛しています』と響き渡って
また一つ、溺れる激情に華を咲かせていったのだった。
《サクラノアメ-朔夜-》
終
✿...*゚すぺしゃるさんくす
茜様