〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第38章 サクラノアメ-恋情-❀石田三成❀
「美依の行きそうな場所に心当たりないか?」
「さぁ……」
「見合い相手は、今どうなってるんですか?」
「信長様が直々に収めに向かわれた。お前達も美依を探してくれ、秀吉も今探しに行ってる。信長様と大名の関係に、亀裂が入らなければいいが……」
(私の、せいだ…………)
心の中が翳っていく。
私が俯いた顔を上げると……
晴天だった空が、どんよりと鉛色になっていっているのが解った。
そう、まるで私の心の中のように。
すぐにでも雫が落ちてきてしまいそうで……
私はぐっと唇を噛み締めると、すぐにその場から駆け出した。
────愛しい、美依様
何故、私は貴女の想いに気づいてあげられなかったのでしょう。
何故…自分の気持ちにも気づけなかったのでしょう。
貴女を、こんなに想っている事に。
誰かに言われるまで、解らないなんて。
『私は嫌です』
あの夜、もし貴女にそう言えてたなら。
何か変わっていたのですか?
織田軍のためだとか。
貴女の幸せのためだとか。
そんな上っ面の体裁なんて捨てて。
心のままに、貴女を求めていたら。
もう少し、私が自分を知っていたならば。
────貴女はあの夜、笑ってくれたのですか?
桜の雨が降る。
激情に混じって、儚く激しく。
私の心に、薄紅の花弁が、降り積もっていく。
私は一つの感情を知った。
それは、狂おしいほど純粋で。
全てを突き動かす、激しい恋情。
美依様、貴女を愛しています。
私が知った、一つの恋。
瞬時に膨らんだ……泣きたくなるほどの、愛。
《サクラノアメ-恋情-》終
《サクラノアメ-朔夜-》に続く──……