〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第37章 アプリコット*プリンセス《生誕記念》❀豊臣秀吉❀
────幸せのカタチ
それは目に見えるもんじゃないと言うけれど
目に見えて解る、幸せの形もある
俺が、温めて温めて大事にしてきた
綺麗な綺麗な『幸せのカタチ』
それは、最高に尊いものだ
それを俺に教えてくれた、生涯の伴侶と
俺達が愛し合った結果、結晶となってくれた……
大切な大切な命達
俺は自分の命に代えても守っていこう
その幸せを噛みしめ、決して離さないように
そして今年もまたやってくる
俺の生まれた日
いつしか重なった、俺と『お前達』の、
大切な大切な記念日────…………
「美依、桃、杏!」
俺は廊下の少し前を歩く、親子三人に声を掛ける。
すると、ふわりとこちらに振り返り……
そのうち双子と思われる二人の小さな姫達が、こちらに向かって転がるように走ってきた。
「とうさま〜」
「とうさま、だっこ〜」
目線を合わせるようにしゃがみ込み、腕を広げれば。
その腕の中に、我先にと駆け込んでくる姫達。
俺は両腕に二人をふわりと抱え上げると……
自分でも信じられないような優しい眼差しで、二人を見つめた。
────桃(もも)と、杏(あん)
この双子の姫は、俺の最愛の妻美依が、この世に誕生させた、俺の大事な大事な家族だ。
祝言を挙げ、程なくして美依は子を孕み……
それが、命が二つあると知った時は、驚きと嬉しさしかなかった。
そして、この世に生を受けて三年。
姫達は美依にそっくり、ひねくれる事も無く、素直にすくすくと育っている。
まぁ、薄茶の髪だったり、たれ目だったり。
そんな所は俺にそっくりであるが……
でも、女の子なんだから美依に似た方がいい。
惚気でもなんでも、その方が絶対可愛いからだ。
「なんだ、二人ともまだ随分元気だな」
「いっぱいたべたからげんきー」
「まちゃむねおじちゃんのごはん、おいしかった!」
「おじちゃんかー、せめてお兄ちゃんにしような」
(あの政宗が、おじちゃん呼ばわりされる日が来るとはなー)
思わず心の中で苦笑する。
今は素直だが、成長したらとんだ跳ねっ返り娘になるやも。
そんな事を思うと、ますます心中に笑みが溢れた。