〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第36章 淡紅染まりし蜜一夜《後編》❀織田信長❀
「降ろしてください、ごめんなさい……!」
「うるさい、静かにせぬか」
信長様の肩の上で、私はぎゃーすかぎゃーすかと暴れまくる。
そんな私を軽い仕草で押さえつけ……
信長様は安土城の天主へ一直線だ。
『お仕置き』だと、信長様は言った。
甘く啼いて乱れるがいいと……
一体何をされるのか、騒がずには居られない。
「美依と信長様だな……」
「……美依の奴、何をあんなに暴れてるんだ?」
天主に向かう途中、まだお城にいた光秀さんと秀吉さんにすれ違った。
信長様は二人なんて、無視して素通り。
私は二人の横をすれ違う瞬間……
最後の悪あがきで、助けを求めた。
「秀吉さん、光秀さん、助けてください!お仕置きされちゃう!」
「お仕置きか、それはいい。存分にされてこい」
「何があったか知らんが、頑張れよー」
「あああ、見捨てないでー!」
最後の希望も絶たれ、天主へ運ばれてしまった私。
ふんわりと絨毯に降ろされる事も無く、ぺいっと。
まるで放り投げられるように、乱暴に投げ込まれた。
べちゃっ!といい音がし、下に叩きつけられ、身体が絨毯に転がり……
信長様は若干怒りの滲んだような視線で見下ろしてくる。
「信長、様っ…ごめんなさい……!」
「許さん、貴様は自己管理能力が欠落しているらしい」
「そ、そんな事は……ぁっ!」
信長様が私に跨り、そのまま組み敷いた。
大きな手で手首を掴まれ、頭の上で固定されてしまう。
信長様は右手だけで、私の両手首を固めながら……
左手の指をつーっと首筋に這わせた。
「あっ……」
「なんだ、触れるだけでその様な声を上げるのか。酒で随分過敏になっているとみえる」
「のぶっ…様ぁ……」
「このような痕は裏切りだな、言っただろう…その肌も俺のものなのだから」
「ぁんっ……!」
信長様が鎖骨らへんに噛みついてくる。
多分、痕を上書きしてるんだ。
自分のものだって意味付けるために……
そう思ったら、余計に身体が火照り出す。
こんな時に不謹慎だけど……
信長様に痕をつけてもらえるなんて、想いを寄せる私にとっては、嬉しい事なのだから。