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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第35章 淡紅染まりし蜜一夜《前編》❀織田信長❀






「────仕置き、だな」






(……へ?)




「……っっひゃあ……!!」




次の瞬間。
身体がふわりと宙に浮いた。

気がついてみれば、信長様に肩に担ぎ上げられていて。

私は思わず信長様の肩でじたばたしては、その背中をこぶしで叩いた。




「ちょっ…信長様っ……!」

「城まで運んでやろう、美依」

「この状態で?!」

「ああ、逃げられたら困るのでな。だが……貴様がこれから行くのは部屋ではない、天主だ」

「へ?!」

「丁度良い機会だから、貴様にたっぷり教え込んでやる」




すると、信長様は怒っているような。
しかし、艶を帯びた低い声で、こう断言した。











「貴様は一体誰のものかという事を。その肌も、髪も、唇も……触れていいのは、たった一人という事を。解るまでは離してはやらん、存分に……甘く啼いて乱れるが良い」











────吹き荒れ始めたのは、春の嵐


薄紅の花びらが風に舞っては、空を彩り
吹きすさぶ熱情は、心の中を熱く焦がす

玩具を取られて泣く、子供のように

己の所有物への執着か
それとも……甘い甘い嫉妬心か


魔王の心は、知る由もなく


そして待ち受けるは、甘い拷問
視線で捕らえて、逃がしはしない

甘美に啼いて、満足するまで

爛漫に咲き誇るは、無垢な白華
純粋と色香を兼ね揃えた、魔王だけの華よ

甘く淫らに紡いでおくれ
それは春の一夜の、蜜物語。






《淡紅染まりし蜜一夜〖前編〗》終
《淡紅染まりし蜜一夜〖後編〗》に続く───………

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