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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第32章 如月の雪紅華《生誕記念》❀上杉謙信❀





────お前は、目が眩むほど美しい



心も、身体も、何もかも。
その純粋な眼差し、温かな肌。

そんな美しいお前に、俺は囚われた。

身動きが出来ない程に。
見えない糸で、俺を縛りつける。


俺はお前が居なければ、息も出来ない。


みっともないと解っているけれど……
俺はお前を愛してしまった。

その事実は、逃れられない現実。

どうか、いつまでも笑っていてくれ。
可憐に咲き誇る花のように。


────俺だけの為に、その花弁を広げろ





















(一体、美依は何をやっている……?)




如月の某日。

雪もしんしん降り積もる静かな日に、何やら城の中を忙しなくぱたぱたと動く美依を見て……
俺は、思わず眉をしかめた。

あっちに行ったり、こっちに行ったり。
何度かすれ違ったのに、こちらには見向きもしなければ、気付きもしない。

いつもなら、顔を合わせれば『謙信様』と愛らしく微笑んで、寄ってくると言うのに。

その感じが、何故か意識的に避けられているような感覚を覚え……
落ち着かないと言うか、心に影を落とす。




「謙信様、顔が怖くなっていますよ」




美依が過ぎ去った廊下で一人佇んでいると。
相変わらずの無表情で、佐助が足音もなく現れた。

見れば、両手に大きな荷物を抱えて……
俺は憮然と佐助を見ながら、淡々と話しかけた。




「……今日はどうした」

「え?」

「そのような大荷物を抱えて」

「いやはい、これはですね、ナンデモナイデスヨ」

「……お前、誤魔化し方が下手にも程があるぞ」




まぁ、佐助が何をしようと勝手だが……
問題は美依だ、佐助なら美依が何か忙しなく動いてる理由を知っているかもしれない。




「佐助、今日美依は忙しそうだな」

「まぁ、はい。そうですね」

「今日一度も美依と口を聞いていない、何故そんなに忙しい」

「あー……そうですね……」




なんとも煮え切らない答えをする佐助。
これは、理由を知っていて隠している……と言う事で間違いないだろう。

俺はすっ…と刀の柄に手を掛けると。
なるべく落ち着いた口調で、佐助に自白を促す。





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