〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第31章 〖V.D企画〗甘い恋人-家康編-❀徳川家康❀
「美依、行こう」
「家康?」
「ここに居ると、色々危険だから」
「でも私、光秀さんに用があって」
肩を抱いて去ろうとすると、美依は『訳が解らない』と言った表情で身をよじった。
光秀さんに用がある。
美依の意見を尊重するならば、ここで離してやらねばならないのだが。
(でも、やっぱり危険すぎる!)
「俺に用とはなんだ、逢瀬の誘いか?」
俺が無言で動きを止めた隙に、光秀さんは傍に寄り、腕の中の美依の顔を覗き込んだ。
すると、美依は少しびっくりしたように頬を染め。
光秀さんの方に向き直って、若干頬を膨らませた。
「違います、依頼されていた羽織が出来上がったので持ってきたんです」
「ああ、例のな。それはご苦労だった」
「ちゃんと出来ているか、着たとこを確かめたいので、今度御殿を伺っても大丈夫ですか?」
「今で構わない。おいで、美依」
「え?」
「折角今持ってきたのだろう?なら、今すぐ御殿で着てやるから来い。色々確かめて構わないからな…色々と」
妖しげな笑みを浮かべ、美依の腕を引く光秀さん。
俺の腕から美依が離れた瞬間、視線がかち合えば。
まるで勝ち誇ったような、表情をしていた。
────ぶちっ
その時。
俺の頭の中で、線が一本切れた音がした。
「光秀さん……」
「うん?どうした、家康」
「あんた、いい加減にしろっ!!」
────ぼぐっっ!!
「うっ……!」
俺の放った膝蹴りは、見事光秀さんの股間の中。
つまり『男の急所』に命中し。
形の良い眉が歪み、身体が怯んだ隙に、俺は美依を引き寄せ、その場から手を引いて立ち去った。
光秀さんの弱点なんて難しく考えなくとも。
男の弱点なんて、皆同じなのだから。
「ちょっと家康、光秀さんが……」
「いいから行くよ、羽織は俺が改めて届けてあげるから」
「くっ…待て、家康……!」
背後からは光秀さんの呻く声が聞こえ……
してやったりと、俺は心に思ったのだった。
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友達のリクエストにより、後日談でした。
いかがだったでしょうか?(笑)