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〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀

第31章 〖V.D企画〗甘い恋人-家康編-❀徳川家康❀




「美依、その甘味……」

「家康、ごめんね……!」




(…………へ?)




俺が意を決して、言葉を切り出すと。
美依がそれを遮り、食い気味に謝ってきた。

なんで、ごめんね?
俺は何か謝られるような事をしたか?

訳が解らず、俺が目を点にしていると……

美依はすっと袖に手を入れながら、若干沈んだように言葉を続けた。




「家康、甘いものが苦手でしょう?だから、あまり甘くない甘味を目指して作っていたんだけど、やっぱり出来上がってみたら、すごく甘くなっちゃって…」

「え……?」

「だから、無理だと思ったら食べなくていいから」




すると、美依は袖から小さな包みを取り出し。
俺の目の前にそれを差し出した。









「はい、家康にあげる…バレンタインデーの甘味。言っておくけど…私は、好きな人にしか作らないんだからねっ……」









(……っっ)




その言葉に、反射的に美依の顔を見る。
美依は頬を林檎みたいに赤く染めて……

照れているのを、一生懸命堪えているようだった。

俺にくれると言った、『ばれんたいんでー』の甘味。
好きな人にしか作らないと。

それは、つまり。









(美依は、俺のことを……)









「……っっ」

「家康……?」

「あんた、本当に……」




言葉が出ない。
しかも、なんか馬鹿みたいに泣きそうだ。


────想いは、通じ合っていたのだと


それが解った瞬間……
気持ちが堰を切って溢れ出した。

大好き。
大好きだよ、美依。

望めば、すぐ手の届く場所にあったのだ。

怖くて、臆病になって。
ずっとずっと、心に葛藤を抱えていた。

嫌われるのが怖くて、欲しいのに欲しいと言えなかった。

でも、今なら言える。
美依が好きだと。

あんたの全部が欲しい、と。






「……っっ!」







俺は、素早く美依の頭の後ろに手を回した。
そしてそのまま、ぐっと顔を引き寄せる。

美依の薄桃の桜みたいな唇。
それに、己の唇をやんわり重ねた。

言葉以上に、身体が先に動いて。
求める心が、馬鹿みたいに溢れ出していく。






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