〖イケメン戦国〗新章 燃ゆる華恋の乱❀百華繚乱伝❀
第21章 俺的四つ葉の幸福論《生誕記念》❀徳川家康❀
「美依…俺は、嫌いな物が多いんだ」
俺は美依を抱き締めたまま、言葉を紡ぎ始めた。
美依がくれた『贈り物』は俺には勿体無いくらい、大きくて優しくて…涙が出るほど温かい。
俺は……それに応えねばならない。
「夏は暑くて嫌いだし、冬も夜が長くて嫌いだし、弱い奴も嫌いだし。でもね…そんなものより、大嫌いなものがあるんだ」
「何……?」
「あんたの泣き顔だよ、美依」
「家康……」
「美依の泣き顔はこの世で一番嫌い。でも…美依の笑った顔や肌の温度や、匂い…それはこの世で一番好き。俺を焦がす、あんただけが…俺を惹き付ける」
だんだん抱き締める腕に力を込める。
もう二度と離さない、と伝えるように。
お互いの心臓の音が混じりあって、肌にびりびりと伝わってくる。
そして、触れ合った部分も。
熱くなって蕩けて……くっついてしまう気がした。
「あんたからの贈り物、確かに受け取ったよ。俺は二度とそれを手放さない。だから美依は責任もって、傍で一生笑っていて。俺は美依と、一生幸せに生きる。一生…あんたを幸せにするよ。美依と言う、俺だけの四つ葉を手に入れたから」
想いの限りを伝え、そっと美依の顔を伺うと。
美依は目を真っ赤に潤ませ、今にも雫が溢れてしまいそうになっていた。
泣き顔は嫌いと言ったばかりなのに、この子は。
俺は美依の肩を掴み、そっと瞼に唇を押し当てる。
その瞬間、ぽろりと涙が一筋伝ったが。
それすら掬うように、唇で辿った。
「泣き顔は嫌いって言ったでしょ」
「…っっ、家康のせいでしょ…家康が、そんな泣きたくなるような事、言うからっ…」
「うん、じゃあ…責任取ってあげる」
「えっ……わぁっ」
ふわりと抱き上げると、美依は小さく、可愛い悲鳴を上げた。
そのままゆっくり歩いて、部屋の奥へ運ぶ。
こんな風にされたら、欲しがる気持ちを我慢するなんて出来ない。
俺への誕生日の贈り物なら……
俺が満足するまで、目一杯愛されて。
とろとろに蕩けるまで、甘やかしてあげるから。